午前11時8分 再開

○議長(原田義則) 会議を再開します。

 休憩前に引き続いて一般質問を行います。5番小川稔宏議員。

            〔5番 小川稔宏議員 質問席〕

○5番(小川稔宏) 議席番号5番、市民クラブの小川でございます。

 今回は、大項目2点についてご質問をしてまいりたいと思います。

 まず、大項目の1点目でございます。認知症高齢者の見守りと行方不明時の対策についてでございます。

 最近起きております認知症高齢者の方のさまざまな事象や社会情勢の変化などの現状を踏まえまして、地域で支える体制づくりと行方不明者の対策等の必要性について、ご質問をいたします。

 まず、中項目1として、認知症が原因による行方不明者の実態と問題点についてお伺いをいたします。

 その1でございますけれども、認知症が原因で行方不明になり、警察が届け出を受理した人数が2013年、全国で1万3,000人に上っていると新聞に書いてありました。浜田市内で行方不明になった方の人数、保護された方の人数、さらには発見された時点で死亡されていた人数、また今なお行方不明のままの方の人数等を把握されておられれば、お伺いをいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 認知症により浜田市内で行方不明になった方や保護された方等の人数につきましては、浜田警察署に照会しましたところ、所轄単位でのそういった数字の公表はしていないということでございました。

 なお、浜田警察署によりますと認知症の行方不明者は捜索届が正式に出される前の段階で、駐在所等への相談を伴う初期の捜索による段階での発見に至るという事例は数多くあるということでございました。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 警察庁のほうでは、毎年全国の行方不明者について発表しているということで、それでこの統計の中の分類で、認知症というのが登場したのが昨年初めてだということで書いてありました。ただ、先ほど言いました人数についてですけども、最近の新しい情報によりますと認知症が原因で平成25年に行方不明になった方で、警察に届けられた人数っていうのは1万322人と出されてるのが一番近いところでの数だと思います。

 前年と比べると715人増えてると書いてございました。その25年の分については詳細についてはわかりませんので、その前の24年について少し数が出ておりましたんで、参考になると思いますので、述べてみたいと思いますけれども、24年中に行方不明になった方が全国で8万1,111人おられて、そのうちで認知症が原因という方は9,607人おられるということで、全体の11.8%が認知症が原因だと書かれてございました。

 その関係で、島根県内では14人だということで数が上がっておりました。しかし、これはあくまでも警察に届け出があった人数だということですので、そのことを注意してみなければならないわけでございますけれども、その中で大半の方は見つかっているけれども、24年末時点で発見できなかった人というのが全国で231人おられたということだそうです。それが、25年に入ってから、そのうちの53名が見つかったと書かれておりました。

 それで、その数からですけれども、24年中に警察が発見した認知症が原因で行方不明になった方の5,524人のうちで、自力で帰宅された方っていうのが3,230人おられたそうです。所在が確認されたけれども行方不明だった方っていうのが、そのうちの4%弱で359人というのは発見されたときに既に死亡されとったということが出されておりました。この統計の中には、その死亡された原因については載せられてないわけですけれども、その内容については聞くとこによりますと河川だとか側溝なんかに転落して水死された場合だとか、あるいは冬時分に屋外で凍死された方等が多いと書いてございました。このように予期せぬ事故に巻き込まれたり、あるいは名古屋での列車での事故のように加害者扱いのような形にされてしまう場合もございます関係で、可能な限り早く家族のもとへ、あるいは入所施設のほうに帰してあげれるような、そういうことが大切だと感じておりますけども、この点についてのご所見をお伺いいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 認知症の高齢者の方が年間で1万人を超えて行方不明になっておられると、そういった中で先ほど議員もお話がありましたように、早期に発見される場合はいいんですけども、なかなか長期になると発見ができなくて、最悪死亡ということがございます。

 認知症の高齢者の方は、判断力が低下しておりますとか認知ということから、現在の年月であるとか、または時刻であるとか、また自分が今どこにいるのかという、そういったことができない、わからないっていう状況でございます。普通の方だったならば、到底歩けないようなところまで歩いていかれるということもありますし、また全国の例では公共交通機関、お金は持っておられなかったんだけども公共交通機関を使われて遠くに行かれたという例もございます。そういったところから、議員もご指摘がありましたように、行方がわからなくなった場合は家族の方はちゅうちょせずに、迷惑をかけちゃいけないということからためらわれることもあるかと思うんですけども、ちゅうちょせずに早い段階で、警察とか市のほうに相談されるというのが一番じゃないかなと思っております。早目の捜索っていうのが大事かなと思ってまして、先ほど行方不明者1万人って言われましたけども、その中で所在確認の期間というので当日が63%、2日から7日が34%で、1週間以内の発見が97.7%でございます。そういったことからも行方不明になられたら早目に、ご家族の方はちゅうちょなく連絡をするっていうことが大切かなと思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 早期の対応ができる体制というのが必要だと思います。そのための見守り体制だとか、対応ということが大事だと思います。

 最近、一番新しい情報によりますと、無事に警察に保護されたのに身元がわからずに市町村の施設で暮らしとる方っていうのが今年5月末で13名、全国でいらっしゃるそうですけれども、そういうことも含めてですけども、次の質問に関連してですが、2点目で、このように自力で帰宅できなくなった認知症の方が、NHKの報道なんかがきっかけになってるわけですけれども、こうした報道をきっかけに家族と再会するケースというのが最近相次いでます。身元不明のままで保護が長期間に及んだ場合には、この間の生活費等について、誰が負担するのかということが問題となるわけですけれども、この点についての市としての考えをお伺いいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 身元不明の方を保護した場合の生活費の負担につきましては、保護されたときの状況や対象者の年齢、健康状況等に応じたさまざまな措置が想定されます。例えば特別養護老人ホームの入所が必要な場合は、生活保護制度で負担をするということになりますし、養護老人ホームの入所が必要な場合は老人福祉施設と生活保護制度で負担するということになります。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) このNHK番組での行方不明になっ方が発見されたケースですけれども、これもいろいろ見てみますと、例えば群馬県の館林市で見つかったケースでいうと警察の方がご本人が申告した名前と、それと服にあった名前が違っとって、それを照会書、書類に記入する段階でまた間違えたということで、三重にどうも間違い、三つの名前がごちゃまぜになって書かれとった関係で7年も発見といいますか、家族に会うことかできなかったということが一つありました。

 兵庫県でも2年以上、家族と離れ離れになっていた方が見つかったのは、保護されたときに写した写真と、家族が持ってきた写真が余りにも古い写真を持ってこられた関係で、それが窓口の担当の方が本人だと確認できなかったということで、2年間も家に帰れなかったということがあったわけですけども、これは一つには警察が持っている照会システムにも問題があるんじゃないかと思ってたわけですけども、最近の新聞を見てみますとそこの辺が少し改善されたということが出されてました。今までだったら、名前で検索ということからしか入っていけないというシステムだったらしいですけれども、例えば持ち物でありますだとか体の特徴ですね。そういったことからでも照会できるように、今いろんな犯罪の捜査なんかに使ってるデータベースみたいなものを活用して、顔写真つきのそういう資料というものを各警察署に備え付けるように通達が出されたということで、そういう意味では身元確認の対策が強化されたと少し安心をしてるわけですけれども、こういったことで幾らかは改善されていくだろうと思ってます。

 ただ、先ほどご答弁がございましたその間の生活費等の負担の問題でございますけども、館林市の件で申しますと7年間にかかった費用は1,000万円を超えるということが最初言われておりました。当初、それを新聞で見たときには、家族が見つかったんで家族に払ってもらうのが当然だということで、そういうことが流れまして、いやこれは大変なことになるなと思って関心を持ってみておったわけですけども、その後の情報によると人道的な立場からの配慮として、今回は請求しない方向で今動いてるということがございました。

 しかし、このことを見たときに、再質問でございますけども、この費用について先ほどのような形で、制度上では法令に従って自治体負担をしていって、そして身元が判明した場合の請求の扱いについて、この点について再質問としてさせていただきますけども、よろしくお願いいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 身元不明者につきましては、生活保護費等での保護しておりますけれども、保護制度につきましては生活保護受給者にその後で大きな資産や年金があることが判明したような場合には、その分の保護費は返還を請求するというのが、この保護制度の原則でございます。この原則は、保護制度の根幹にかかわることですので、堅持されるべきと思いますけれども、先ほどの議員の今回の身元不明の館林市の事例でいいますと、問題点が報道されていますように身元不明者が長期間にわたって保護された後につきましては、この原則を適用するというのは実際には大変難しいのではないかなと思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 基本的な考えとすれば、そうだろうなと思っております。

 ただ、仮に今回の方向で請求がされないとした場合に、その館林の方の多分コメントだと思いますけども、例えば行方不明になっても家族がその間は自治体で見てもらえるんだということが、そういう方向になっていくと、逆に言うと家族が熱心に探さなくなるんではないかという懸念もあわせて載せられておりますけども、この点について、もしお考えがあればお伺いしたいと思います。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 議員ご指摘のように請求しない場合、もう任せてしまって捜索をしない、また逆に今回問題になりました請求されるということになれば、わかっても手を挙げられなくなってしまうと。請求する、請求しない、双方に難しい問題があるんじゃないかなと思っております。

 これは先ほど説明しましたように制度上の問題ですので、国のほうがこのような場合のガイドラインを示して対策を講じるということになろうかと思いますけれども、まずはこの対策としまして、先ほどのお答えとダブりますけども、長期にわたって身元が判明しないようなことにならないように、早く発見できればこんなことになりませんので、そういった取り組みが大事かなと思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) おっしゃるとおりでございますので、この質問については置きたいと思います。

 3点目でございますけども、こうした問題が身近なところでも最近起きたということで、これは私は事故が起こってからしばらく後になって伺ったことなもんで、その点について少し質問をしたいと思います。

 三隅町で2月28日に行方不明になった方が、翌日3月1日の日に亡くなられた状態で発見されたという事故について、市のほうで把握しておられる範囲で結構ですので、概要をお伺いをいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 議員ご質問のとおり三隅町で高齢者の方が2月28日に行方不明となりまして、翌3月1日に発見されましたけれども、残念ながら亡くなっておられたという事案がございました。まず初めに、亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 本事案の概要でございますが、2月28日の夜、消防団から三隅支所自治振興課に行方不明の連絡が入りました。対象者は夕方ごろから行方不明とのことで、地元警察、消防、消防団により翌日未明まで捜索をいたしましたが、発見に至らず、一旦捜索を終了いたしました。3月1日は防災行政無線放送や防災防犯メールによる情報提供依頼も発信するとともに、早朝から捜索を再開いたしましたが、同日午前11時ごろ、残念ながら亡くなられた状態で発見に至ったという状況でございます。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 私も実際に捜索に当たられた消防団の方々からも少しお話を伺ったりしたわけですけれども、夜を徹しての捜索作業に当たられた消防団の方々、あるいは関係者の方々については、本当に頭が下がる思いでございます。

 関係された方々は、あれでもご本人がひょっこり翌朝にでもあらわれるんじゃないかということで期待をされていただろうと思うんですけども、残念な結果になったということであると思います。

 こうした身近な事故を通して、例えば捜索に当たられた方々とか、あるいは町内会、自治会の方々の中で、こういったことが今後身近なところでも起こる可能性があるということで、こうしたらいいじゃないかとか、ああいうことをしたら、もしかしたら早く見つかったかもしれない、無事に保護することができたじゃないかという、そういうもしご意見等が市のほうに寄せられておりましたらお伺いしたいと思います。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 今回の事案の地区につきましては、日ごろから大変地域住民の方の地域コミュニティの醸成が図られてる地域でございまして、またご本人についても地域の皆さんがその様子を確認しておられまして、日ごろから見守り等をしておられたという状況でございました。そういった中で、今回事案が発生して地域住民挙げて、総動員で全力を挙げて捜索に当たっておられたということでございます。ですので、捜索に当たっておられた方、非常に残念な結果になりましたので、一番悔やんでおられるのではないかなと思います。先ほど議員がおっしゃいましたように、もう少しこうしたらよかったんじゃないかなという思いを持っておられるんじゃないかなと思っております。

 冒頭言いましたけれども、行方不明になられたら、ご家族の方、地域の皆さんにご迷惑をかけてもいけないということで相談をためらわれるというのがございます。そういったことではなくて、いち早く周りの方、消防団、市というところにご相談してもらって、より多くの皆さんの協力を早目に得るということが大切かなと思っております。日ごろからこの地域は非常にそういった体制ができてますけども、そういった中でもこういったことになったということですので、ご家族の方が遠慮されなくてというところも必要なのかなと思ったところでございます。

 ただ、こういった案件につきましては全国的にも多く発生してますし、今後どうしていけばいいかということで、十分検討していきたいと思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) おっしゃるとおり三隅のほうではかなりコミュニティが充実しとるということで、例えば防災無線で全戸にそういう情報が入ったということで、あの方だったらここらあたりで見かけたよとかという情報が消防団のほうに入ったとかということも伺いました。それで、ご本人も足腰が丈夫だということで行動範囲が広いんじゃないかということも想定をされて、広い範囲を捜索されたというお話も伺ったりしましたので、そういう意味では日常のそういうコミュニティでのつながりといいますか、そういったところが大切かなということを痛感をしております。

 そういうことで、(2)でございますけども、高齢者の見守りと行方不明時の対応についてということで、少し具体的な話に移っていきたいと思いますけども、その一つとして訪問介護などによってひとり暮らしのお年寄りの安否確認等がされていると思いますけれども、その中で現状での問題点や課題があれば、お伺いをいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) ひとり暮らし高齢者にとりまして訪問介護等の利用は、非常に有効な安否確認の方法で、何か異変があれば必要な関係機関に連絡が入ります。

 問題点としましては、訪問介護などの利用は介護保険の要介護認定を受けた方に限られていることと要介護認定を受けた方でありましても認定区分によっては毎日の利用でない場合があります。

 なお、高齢者の安否確認としましては、民生委員や福祉委員が支援の必要な高齢者の見守り活動をされておりますし、高齢者クラブが友愛活動ということで、ひとり暮らし高齢者などへの友愛訪問を行っておられます。

 浜田市としましても、緊急通報装置の設置推進や配食サービス利用時の安否確認等に取り組んでいるところでございます。しかし、これで万全ということにはなりませんので、高齢になってもひとり暮らしなっても安心して暮らすことができるまちをつくっていくためには、地域社会の皆さんと力を合わせてできる環境づくりが重要であると考えております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 今ご答弁いただいた中で、配食サービスというのがございましたけれども、これも安否確認については非常に有効な手段ではないかと思っております。この点について、少し具体的に詳しく補足説明していただければと思います。

 例えば、どういった業者の方がそういうことを請け負っておられるとか、1週間あるうち1週間全部なのか、あるいは月曜日から金曜日までなのかとか、朝昼晩のうちのどれかとか、それとお弁当代が幾らかかって個人負担が幾らで、幾ら補助があるとか、そういった部分がもしございましたら補足的に説明していただければと思います。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 配食サービスにつきましては、民間の業者のほうに委託をしております。昼食の確保が困難な方に対しまして、元旦は配食しませんけども、それ以外は1年間ずっと364日ですか、高齢者向けの昼食を利用者の家のほうに配達をするもので、あわせて配食と同時に安否確認を行っているところでございます。

 対象につきましては、市内に暮らしておられるひとり暮らしの65歳以上の高齢者の方、65歳以上の高齢者のみの世帯、この方を対象としております。

 自己負担でございますけども、お弁当につきまして1食当たり400円、また御飯は自分で用意するのでおかずだけという方につきましては320円ということでご利用いただいております。

 25年度の実績でございますけれども、この配食サービスの利用登録者につきましては165人おられまして、年間の配食数につきましては2万7,300食ぐらいでございます。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) ありがとうございます。

 この認知症の方の見守り体制については、国会の中でもかなり最近議論になっておりまして、それに対して田村厚生労働大臣のほうでも警察だけじゃなくて自治体とか地域包括センターだとかタクシー会社、そういったとこも含めてのネットワークづくりが大切ではないかということも言っておられますし、専門家の方もこういった実態というのを行政もきちんと把握をして、有効な対策をとることが必要だと言われております。しかしながら、先ほどおっしゃいましたように完璧な見守りというのは、なかなか地域でも、家族も含めても難しいのではないかと思いますけども、そういう中で先ほどのような配食サービスというのも一つの方法だと思います。

 私も先日、雲南市のほうで地域自主組織のほうの視察に伺ったときにも、例えば雲南市のある地域では水道のメーターの検針の委託を受けて、全戸を毎月1回まめなかねっていう声をかけながら見て歩くということもありましたけど、こういうこともやられとるとこもあるんかなと感心したわけですけれども、そういう中で次の質問ですけれども、最近新聞で生活協同組合の組織が自治体と認知症高齢者の方の見守り協定を結ぶという動きが広がって、546の自治体と締結してるということが出てました。重要なことだと思っておりますけれども、浜田市でもそうした働きかけがされているのかについてお伺いをいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 3月議会で議員のご質問にお答えしましたように、浜田市としましては認知症の方が行方不明になる前に、広く地域で見守り、支援する体制を構築することが重要であると考えておりまして、県内でも先進的な認知症対策に取り組み、みんなで認知症の人とその家族を支え、誰もが暮らしやすい地域づくりを推進してきたところでございます。

 現在、議員ご指摘の生活協同組合に限らず、宅配事業者や公共交通機関など、行方不明高齢者の見守りや捜索にご協力いただける地域の生活関連団体等との見守り協定の締結についての検討を進めておりまして、認知症高齢者の見守りや行方不明者の捜索に対応する仕組みを構築したいと考えております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) これも一般質問の1日目、2日目の中でも少し協力をお願いしたい、生活関連団体については述べられておりましたけれども、現時点で考えられる事業所だとか団体について、少し再確認の意味で、こういったところがあるということがあれば、ご説明をしていただければと思います。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) まず、議員ご指摘の生活協同組合でありますとか、先日柳楽議員からのご提案いただきました郵便局、あるいは日常的に市内を巡回している宅配事業者、またはバス、タクシーといった交通機関、そういったものを想定しているところでございます。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) ありがとうございます。

 協定の案について、例えばどっかの自治体の例を参考にするだとか、あるいはその協定を締結するに当たっての協定の中身のポイントですね。こういったとこはせめてそういう協力団体とは結びたいみたいな、お願いしたいという具体的なもんがございましたらご説明をお願いいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 今現在、先進事例を研究している段階でございますけれども、平素からの見守りや行方不明時の捜索について、ご協力いただけるような内容にしたいと思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) そういう形で、先進事例のところは結構あるということでございますので、そういったところを参考にしていただきながら具体的な案をつくっていただければと思います。

 それで、先進地でいいますと私がよく参考にさせていただくのは大牟田市だとかということでございますけれども、そういったところでは、もし捜索願が出たときにはかなりの登録された方にメールが入るだとか、あるいは2004年ぐらいからは毎年、認知症の行方不明になったときの模擬訓練ということも取り組まれておりまして、昨年なんかも10回目になるということで、2,000人ぐらいの方が参加したということなんかも見ております。

 そういう意味で、3点目の質問でございますけども、防犯防災メール登録者の数ですけども、これが今どのくらいおられるかということと、また郵便局やコンビニ、交通事業者等に配信されているのかについて、現状をお伺いいたします。

○議長(原田義則) 総務部長。

○総務部長(牛尾祐治) 平成26年6月2日現在なんでございますけども、防犯防災メールの登録者数は5,240人となっております。

 携帯電話、パソコン等から登録していただいておりまして、どういう方が登録していただいておるかという情報は把握ができておりません。

 郵便局とかコンビニ、交通事業者等のことでございますけど、こうした場合も登録をしていただければ当然配信ができるというシステムでございます。

 引き続きまして、防犯防災メールの登録の増加について推進を行いまして、多くの方に情報提供ができるようにしたいと考えているとこでございます。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 事業者の方に、今そういう受信をお願いする段階で、何か障害になる問題点とかというのが市のほうで考えられるんでしょうか。お願いをする場合に、なかなか協力いただきにくいという事情ですね。そういうのは特にございませんでしょうか。

○議長(原田義則) 総務部長。

○総務部長(牛尾祐治) 現在、現実的にどういう対応をしとるかというと、どちらかというと個人の皆さんにぜひご加入願いたいということで、例えばこういうパンフレットを用意いたしまして、市の機関に配布してお願いすること、それから今回も防災関係の特集で6月の広報のほうにも記事を掲載させていただいたり、あるいは行政連絡員会議等でぜひお願いしますとして項目を掲げたり、そして石見ケーブルの行政情報番組というのがございますが、これでも防災関係で今回出演させていただいて、これの啓発に努めてるとこでございますが、今議員がおっしゃいましたように、どちらかというと高齢者の方の見守り等のためという観点もございますので、そうした場合については、そうした関連業者、団体等へ率先して加入を依頼したほうがいいという面もございますので、安全安心推進課がこれの所管をしておりますが、また健康福祉部とも連携して、そうした特に協定等も検討されとるということでございますので、そうした際にはそうした団体について防犯防災のメールの登録についても推進をお願いしたいと思います。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 関連で質問させていただきますけども、先ほどの石見ケーブルテレビの関係ですけども、仮に行方不明なんかの情報が入った場合に、現段階で放送の合間に例えばテロップを流すとか放送されるとかということはされているかどうかについてお伺いします。

○議長(原田義則) 総務部長。

○総務部長(牛尾祐治) 今ケーブルテレビのほうで自主放送のほうで、災害とかそうした関連でテロップを流されるという事例があると思います。この場合にも、こうした質問をお受けいたしましたのでいろいろと検討したんですけども、当然石見ケーブルさんとの協議、必要になると思うんですけど、システム的には可能でありますので、内容についてどういう対象のときにそうした対応をしていただけるかということについても協議をしてみたいと思います。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) よろしくお願いいたします。

 それでは、(3)でございますけれども、見守りネットワークづくりと行方不明時の捜索体制の充実についてでございます。

 認知症になっても安心して暮らせるまちづくりに向けて、緩やかな責任の連帯ということが大切だという指摘もございます。そのための連絡会など、協議の場の設置が必要だと思いますけれども、これについての市の考えをお伺いをいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 先ほどお答えいたしましたように、現在生活協同組合や宅配事業者、公共交通機関など、日々の見守りと高齢者の行方不明者の捜索にご協力いただける地域の生活関連団体等との見守り協定についての検討を進めております。

 また、地域で高齢者等の見守り活動をしていただいています民生委員、福祉委員、高齢者クラブの方々がおられます。認知症の高齢者の見守りにつきましては、これらの多くの方々や団体が連携しまして、日ごろから通常の活動の中で支え合う仕組み、まさに先ほど議員ご指摘の緩やかな責任の連帯、これが重要であると思います。

 そこで、まずは地域の開設関連団体等と協定を締結しまして、その協定が有効に機能していくよう、浜田市と協定締結団体等の協議の場を設置していきたいと考えております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 協議の場の設置に向けてのスケジュールですけども、例えば具体的にこれぐらいの時期をめどにやろうとしとるとかということがございましたらお伺いしたいと思います。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 協定締結でございますけども、まだ先進事例を研究している段階でございますが、早急に協定内容をまとめまして賛同していただける企業、団体を募り、年度内の調印に向けて努力していきたいと考えております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 大変だと思いますけども、ぜひとも頑張っていただきたいと思っております。

 しかしながら、必要性等につきましては理解できるけども、なかなか今あるそれぞれの部署での仕事が大変だということで、なかなか手いっぱいでその余裕がない部分もあるんではないかと推測するわけですけれども、例えば次の2の質問ですが、そのために専門スタッフの配置だとか、今後検討されるお考えがあるのかについて、このご認識をお伺いいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 浜田市では、平成23年度から国の事業を活用しまして認知症地域支援推進員を配置しております。推進員は、医療機関や介護サービス及び地域の支援機関の連携を強化し、地域における支援体制構築のコーディネーターとしての役割を担ってもらっております。議員ご質問の専門スタッフにつきましては、この認知症の地域支援推進員をもって充てたいと考えております。

 認知症になっても住みなれた地域で生活を継続するためには、関係機関が有機的に連携したネットワークを形成し、認知症の人への効果的な支援を行うことが重要であると認識しております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 具体的なそういうネットワークづくりのときに、私自身がいろいろ想定しとる中で、例えば先ほど例として挙げました徘回模擬訓練でありますとか、あるいは国会の答弁の中で田村厚生労働大臣が言われておりました高齢者台帳というのもつくったらどうかという提起もされておりました。そういったことをもししよう思ったときの相談窓口として、例えば先ほどおっしゃった地域支援推進員の方が窓口になるのか、あるいは健康福祉部が窓口になるのかについて、少しお伺いできればと思いますけども。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 認知症行方不明者の捜索の模擬訓練ということでございますけども、そういった計画っていうのがございましたら、先ほどお答えしました認知症の地域支援推進員、これが窓口となりまして、その推進員は包括支援センターのほうに配置しておりますので、包括支援センターのほうにご相談いただければと思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) わかりました。

 それでは、次の3番目の質問ですけれども、認知症と思われる方が困っておられるようなときの声のかけ方でございますけれども、こういったことを例えば広報に載せることも一つの考えだと思いますけれども、そうしたお考えがあるかどうかについてお伺いをいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 市民の皆様が認知症について偏見を持たず、正しく理解し、認知症の人にさりげない支援をしていただくことは大変重要でありまして、浜田市では認知症サポート養成講座の開催に取り組んでいるところでございます。

 議員ご指摘の広報「はまだ」の活用も、広く市民の皆さんに認知症に関する知識を普及啓発する一つの方法でございますので、認知症と思われる方が困っているようなときの声かけの仕方などを掲載してまいりたいと思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 参考ということで、僕も目にしたのは、ある新聞の一面に載っていましたけれども、こういうイラスト入りで、認知症の男性の方に女性の方が腰を低くして話しかけているイラスト入りで、そのときの声のかけ方のポイントみたいなとこを少し書かれております。例えばゆっくり近づいて、相手の視野に入ってから話しかけるとか、こんにちはとかといったそういうごく普通の挨拶から入っていって、どこに行かれますかとか、何かお困りですかとか、そういうことを簡潔な言葉で質問するだとかということが書かれておりますけども、こういったことを広報などに載せるだけでもかなり違ってくるんだと思いますし、あるいは岡山県の和気町ですか。そういったとこでも模擬訓練の中で言われたのは、道に迷ったりした方がおられたとしても何事もないような形で受け答えされる方もおられるということで、先般ご答弁の中であった、例えば服を下と上とを逆に着ておられる方だとか、あるいは私が見た中では左右違う履物を履いていたり、あるいは施設でつけてもらっている、通報先の名札をつけておられる方を見かけたり、そういうときには勇気を出して声をかけて読んだり、そういうことも必要ではないかと思いますので、そういう参考になるような事例なんかを広報に載せていただければ、かなりそういう意識も上がってくるんじゃないかと思います。

 4点目ですけれども、大牟田市では小学校で「いつだって心は生きている」という絵本を使って認知症の知識を学んで、中学校とか高校生が声をかけて保護につながる例もあると伺っております。こんな本なんですけども、こうしたことを取り組まれるおつもりがあるかどうかについてお伺いをいたします。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 認知症の人と地域でともに暮らすためには、子どものころから認知症を身近なものとして捉えることが大切であり、子どもたちを対象に講座を開催することで、その保護者にも啓発の効果が上がることも期待をされます。また、認知症の人への接し方を学ぶことは、相手の身になって、相手を思いやる気持ちを育む上でも大変有効であると考えております。

 議員ご指摘の大牟田市では平成15年度に「いつだって心は生きてる」という認知症の啓発絵本を作成されまして、市内の小・中学校において認知症絵本教室を開催されておられます。

 浜田市におきましても認知症の地域支援推進員が中心となりまして、子ども向けのわかりやすい教材を、これは県立大学の学生さんと一緒になって作成しておりますので、この教材をもとに、今後子どもたちを対象としましたサポーター養成講座が開催できるよう関係機関へ働きかけをしていきたいと思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) ぜひそういった教材というのを活用されて、そういう教育の場に活用されていただければと思いますけれども、どういった場で講座をされるか、学校での学習時間の中で確保されようとしているのか、それか地域のほうでそうされてるかっていう点についてお伺いしたいと思います。

○議長(原田義則) 健康福祉部長。

○健康福祉部長(小澤孝子) 子どもたちへの働きかけでございますが、まずは学校のほうでの開催ということを考えております。これまでもしておりましたけれども、校長会等に出向きまして、こういった取り組みの働きかけを今までもしてきましたし、今後もしていきたいと思ってます。

 また、学校以外の子どもさんを対象とした講座の開催でございますけども、これにつきましてはどういった形があるのかということは、今後検討してまいりたいと思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 最近、徳育ということがよく言われておりますけれども、こういった認知症の方との接し方を通じて、相手を思いやる心といいますか、そういったことも育まれると思いますので、今後ご検討をお願いをいたします。

 それでは、次の大項目の2点目になりますけれども、地理、歴史教科書の採択と教育委員会の役割についてご質問をさせていただきます。

 国の教育再生政策は、戦後レジームからの脱却の名のもと、自虐史観の一掃が言われ、戦後平和教育の転換が図られようとしているように見えます。学校教科書についても教科書改革実行プラン、検定基準、審査要綱の変更の中で、出版社が政権の意向に配慮した経営判断の中で自主規制が促進され、従来の記述が変更されるなど、教育の政治的中立性というのが損なわれているんではないかと見えます。この教科書問題を中心に質問をさせていただきます。

 まず1点として、教科書選定の現状と経緯についてお伺いをいたします。

 一つとして、教科書選定をめぐって東京都や沖縄県の竹富町を初め、全国各地で問題が発生をしておりますが、浜田市教育委員会においてはそうした議論があるのかどうか、この点についてお伺いをいたします。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) 報道等を通じました教科書の選定をめぐります問題につきましては、当然関心を持って注視をいたしております。

 しかしながら、今回の竹富町の件につきましては、定例の教育委員会等では正式には検討といいますか、議論はいたしておりません。

 現在、浜田市では平成27年度から向こう4年間に使用いたします小学校の教科用図書の選定準備を進めております。先に開催いたしました定例教育委員会におきまして関係法令、島根県教育委員会の方針に基づき定められた方法、手続、それから教科書選定に関します事項等について確認をしたところでございます。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) わかりました。

 それで、次の質問ですけども、現在浜田市で使われている中学校の地理、歴史、公民、小学校の社会科の教科書について、それぞれ出版社がどこなのか、お伺いをいたします。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) 現在、浜田市で使用しております中学校の社会科の教科書は、地理が株式会社帝国書院、歴史が東京書籍株式会社、公民は日本文教出版株式会社でございます。また、小学校の社会科の教科書につきましては東京書籍株式会社になっております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) その教科書の選定に当たって、小学校、中学校、それぞれどれくらいの種類の中から1冊の本を選ばれとる現状があるんでしょうか。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) 種類につきましてですけれども、小学校のほうは社会科4種類でございます。それから、中学校、これは前回、平成23年度に選定をいたしておりますども、そのときには地理が4種類、それから歴史が7種類、公民も7種類ということでございました。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) その中から1冊を選定をするのは大変な作業だと思いますけれども、例えば今前回から小学校でいうと3年たっていますけれども、現在使われてる教科書に対していい悪いという意見が寄せられてるかどうかについて、お伺いをいたします。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) 現在、使われております教科書に対する意見、現在のところ保護者等からそういった意見は教育委員会のほうには届いておりません。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) わかりました。

 それでは、次の質問でございますけれども、学校教科書選択権についてでございます。

 現在では、市の教育委員会にあると認識をしておりますが、それでよろしいでしょうか。また、市の教育委員会において採択に至る経緯について、お伺いをいたします。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) 議員ご指摘のとおり市内の小・中学校の教科用図書の選択権につきましては、浜田市教育委員会にございます。

 選択に至ります経緯でございますけれども、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律、そういった法律によりまして、市町村の区域を合わせた地域を選択区域ということで設定をいたしております。いわゆる共同選択の方法によって選定をしているということでございます。なお、この法律によりまして選択地域内の小・中学校は同じ教科書を使用するということとなっております。

 浜田市は、大田市、江津市、邑智郡の3市3町で、各教育委員会の代表6名と保護者の代表2名、計8名の委員構成で、浜田地区教科用図書採択協議会、そういったものを設置をいたしております。

 協議会では、地域内の教員のうちから各教科ごとに3名の調査員を委嘱をいたしまして、文部科学省の教科書目録に登載されました全ての教科書について専門的な調査研究をいたしております。その後、調査員の研究報告を受けまして、協議会で協議の上、教科書の選定をいたします。この選定結果を各教育委員会に持ち帰りまして、各市町の教育委員会で審議の上、またもう一度、地区採択協議会で最終的に決定をされるといった流れになっております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 先ほどご説明のあったたくさんの種類の中から選ぶ段階ですけども、それは恐らく文部科学省が指定をしたといいますか、検定に合格した本の中から選ぶということになってると思うんですけども、いろいろ諸外国の例で見ますと、日本のような検定制度を取り入れてない国なんかもございますし、あるいは国によっては国定教科書という、これを使っている国もあるわけですけども、日本のこの検定制度についてのメリット、デメリットについて、ご認識があれば、お伺いをいたしたいと思います。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) 日本の教科書検定のメリット、デメリットということでございますけども、これについては明確にお答えすることができないと思っております。

 ただ、文部科学省が出しております教科書検定の必要性といったようなことなどを示しておりますので、それを少し述べさせていただきますと、学校教育においては国民の教育を受ける権利を実質的に保障するため、全国的な教育水準の維持、向上、教育の機会均等の保障、適正な教育内容の維持、教育の中立性の確保、そういったもののために教科の主たる教材として重要な役割を果たしている教科書について、検定を実施するということが示されておりますので、そういったことに基づいて、日本では検定が行われていると考えております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) ありがとうございます。

 それでは、(2)のご質問にさせていただきますけども、教育環境の変化の中で、教育委員会の役割についてでございます。

 その一つとしてですが、埼玉県の教育委員会では、これは高校のですけども、高校の地理、歴史、公民の教科書全部で60冊、これを比較して、内容の違いを例えば記述の内容で、竹島問題だとか、沖縄の米軍基地など、こういった形で47項目ぐらいに分けて指導資料を作成して配られとるということがございますけれども、こうした取り組みを中学校教科書、小学校もですけども、そういった中で行うことについてのご認識はいかがでしょうか。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) 埼玉県教育委員会の作成をいたしました高等学校地理、歴史及び公民の教科書の一覧表につきましては、その目的が教科書によってさまざまな見方があることをもっと知ってもらうこととされております。そうした意味では、一定の意義のあることだとは思っております。

 しかしながら、学習指導要領の解説、そういったものにおきまして具体的な指導内容が示されております。そういったことでご質問の中学校等への指導資料集の作成、配布、そういったものについては現在のところは必要がないと考えております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) わかりました。

 私が心配してるのは、文科省のほうで出された、先ほどおっしゃいました解説書の関係でございますけども、こういうことが先般改正をされておりますけども、その中で中学、高校の教科書でその改訂が行われたわけですが、小学校の教科書でも自主的にそうした竹島問題や尖閣問題についての記述が変わったということがございまして、これは小学校ではそういう指導がないにもかかわらず、小学校教科書の発行する全ての出版社がそう変わってきたということの記事を見ました。

 また、もう一つは、例えば慰安婦問題なんかにつきましても中学校の歴史教科書で、かつては全社が扱っとったのが、もう今では全く扱ってないという、そういう変化もしておりまして、そういったとこを少し心配しておるわけですけども、②の質問でございますけども、教科書問題で焦点となっているこういった慰安婦問題だとか領土問題、侵略戦争等の記述について、どのような認識を持っておられるのか、お伺いをいたします。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) 歴史等の教科書につきましては、教科書検定を合格したものでございまして、歴史的な事実を正しく、かつわかりやすく子どもたちに伝えることができるものであると認識をいたしております。

 なお、文部科学省が編集をいたしました学習指導要領の解説、これには指導上の目標、それから内容の取り扱い、そういったことについて詳しく示されておりますので、教科書により表現の違いはあるにいたしましても児童・生徒には正しく、かつわかりやすく指導がされているものと考えております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) その点で学習指導要領解説というのが、今年の1月ですか、一部改訂になっている資料を見たときに、領土問題でも以前では、例えば表現が竹島問題について具体的に絞った中では、韓国との間に主張の相違があるという程度で書かれとったのが、今回はそれをもう少し突っ込んだ形で不法に占拠されているということで、竹島に対しての政府の見解ということがずっと書かれております。特に、今までなかった尖閣諸島に対しての記述については固有の領土であるということを新しい改訂後のものには書かれておりますし、解決すべき領有権の問題は存在してないというとこまで書かれております。前と比べると全く変わった形での記述というのがなされておるわけですけども、そうなってくると教科書というよりか、むしろ政府の広報紙みたいな形に教科書が使われとるんではないかという気がしますんで、その点についてご所見があればお伺いをしたいと思います。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) ただいまの議員さんのご指摘についてでございますけども、教科書を使いまして歴史的な事実、そういったものを確実に教えるというのが教育でございます。また、一面的な指導だけではなくて、あらゆる方向からの指導といったことも必要だろうということも思っておりまして、そういった点についての配慮は必要だとも思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) 特に、この領土問題につきましては、将来において平和的な解決をしていかなければならない問題だと思いますし、そのことを担う子どもたちに政府の考え方だけを教えるのではなくて、将来的にそういう近隣諸国との関係をどううまく処理していくかということの解決能力というものも必要になってくるとだろうと思いますので、そういった点についても今後もご検討をお願いできればと思います。

 最後の質問でございますけども、国の教育改革によって教育内容、教育環境の変化や教育委員会の持つ自主性、独自性が損なわれないか、大変危惧をしておりますが、この点についての市のご認識をお伺いをいたします。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) 現在、国において進められております教育改革は、人づくりは国づくりという基本理念のもとに進められていると理解をいたしております。

 子どもたちを取り巻く環境が大きく変化する現代社会におきまして、その変化に自ら主体的に立ち向かい、解決する力の育成が求められており、その実現のためにさまざまな制度改革が議論されていると認識をいたしております。

 その制度改正の一つが、教育委員会制度の改正でございます。教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保しつつ、地方教育行政のおける責任の明確化、迅速な危機管理体制の構築、首長との連携強化を図るための改革と認識をいたしております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) その中で、道徳の教科化っていうことが言われております。これは子どもたちに規範意識を徹底させることを目的にしとるというふうに書かれておるわけですけれども、今国会の憲法解釈をめぐっての議論を見ておりますと、非常に疑問に思うとこがございます。その点についてといいますか、教科化についてご意見がございましたらお伺いをいたします。

○議長(原田義則) 教育長。

○教育長(石本一夫) 道徳の教科化につきましては、言われましたようにいじめ対策を議論する中で出てきたと私どもは認識をいたしております。

 ただ、道徳を充実をさせていくということにつきましては、確かにいじめ対策ということにつながっていこうと思っておりますけども、教科化ということとは少し話が別なんじゃないかなという気がしておりまして、これは分けて論議する必要があろうかと思っております。

○議長(原田義則) 小川議員。

○5番(小川稔宏) ありがとうございました。

 教育の基本は、子どもや若者の学習を通じて成長する権利というのを保障することが必要だと思いますし、現在と未来の展望を切り開く基盤としての教育をぜひとも守っていただきたいということを強く訴えまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○議長(原田義則) この際、暫時休憩します。なお、再開は1315分とします。

 

午後0時10分 休憩